時計探訪記 〜パリ 後編〜
2024.10.22 Journal byひと昔前と違い、立地や築年数にネガティブ感のあった格安の宿であっても、ハイセンスなディレクションが入ることにより、新たなハイエンドホテルとして価値を生む時代になりました。そしてコンセプトやデザインも、まるでファッションのトレンドのように派手に移り変わってゆくわけですが、今年(?)ここパリに「大正ロマン」をコンセプトに古い安宿をクールに作り替えたブティックホテルがニューオープン。
フランスで感じるオールドジャパン。違和感が不思議とありません、素敵な空間でした。が、やっぱり客室は狭いですね(スタンダードでたしか25㎡切ってます)。こればっかりはどうにもなりませんよね、結局はリノベーションなので。
さて、この日は小さなギャラリーが軒を連ねるサガンにある時計屋さんに。
流石このエリアに出店しただけあってインテリアにも気合いを感じさせますね。オリジナルのJean Prouvéのチェアやデスクで商談。時計を照らすライトはこちらもオリジナルのSerge Mouille。お客さんからしてもなかなか貴重な体験じゃないですか。旬なアートピースとヴィンテージウォッチを同列させる価値観、僕は好きです。
そして肝心の時計ですが、何本か。
左がサンダーバードRef.6609ホワイト。右が初期リファレンスのデイデイト。奥がPGのデイデイト。サンダーはこれ良い個体でしたよ。この素朴さが美しいわけですが、ステンタイプは今特に探していたわけではないのでとりあえず見送り。
そしてこれですね。これはある意味デイデイトの終着点というか、とにかくすごかったデイデイト。6611ですねリファレンスは。針スレや夜光欠落も厳しい目で見ればあることはありますが全くの許容範囲内。1950年代ですので。
どうでしょう、いくらを言われるのでしょう、と自分のセーフラインを想像するも過去にどこかで販売された前例があまりにも少なくて見当がつきません。で、聞いたら彼も把握してなくてその場でボスに電話で確認してくれたんですね。10秒くらいで切って、なんだか申し訳なさそうな顔つきに変わって値段が伝えられました。それは想像の遥か遥か。そのまた遥か。
別に、商売ですから、探しても無いもの、それもオークションハウスコンディションであるとしたら、その言い値は時に夢を作ると思うんです。ただ、これは、オーナーさんそう来ましたか、というか。なんにせよパスということになりました。
晩。
一日中これだけ小さなオモチャにこれだけ真剣になると、何も買えずとも疲労困憊。そんな一日をリセットしてくれるのは良いミールと良いワイン、それと良い女。というのはジョークで、たまに一緒に仕事をしてる友達がノルマンディからたまたまパリに来ていて、色んなレストランをアテンドしてくれて楽しい、美しい夜を送りました。
ということでパリでは何も買えず。
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