時計探訪記 〜ロンドン 前編〜

2024.11.05 Journal by Wolf and Wolff

収穫が無いままロンドンに移動。すぐに食通のイタリアの友達にレストランマップを作ってもらった。
ここは結局毎日行くことになった自然系ワインとAsian foodのお店。特にタイ料理がキテるのですが、「ナチュールと〇〇」先進国の日本でもタイ系はほぼ無くないですか?でも食せばすぐに納得。辛すぎて何飲んでるか分からなくなるという。で、肝心のフードの写真は忘れました。

それにしても飲食店でもなんでもこの完全二極化というか一極集中というか、年々大胆になってきていますよね。時代に選ばれた者だけが倍々に集客を増やし、逆にクオリティは高くともブランディングがイマイチだと瞬殺で消えていくという。そしてそのジャッジマンはSNSの一般ユーザーとその分母なわけですから。結果いい感じの兄さん、面白い姉さんは沢山見るようになったけれど、「こいつキマってるわ」っていう病人が戦場から減っていっているのはちょっぴり退屈です。

そんな話はいいんです、で、食後はバーリントンアーケード(名称間違えてるかも)へ。

さて、もしレアで良いコンディションのヴィンテージを探しているなら、ここに来れば大抵の探し物は見つかるはず。ただし、世界最高値で買っても構わないという資金がある方限定ではありますが。

James Bond , Paul Newman , Stella dial , などなど、これらが普通に、極普通に陳列されているという、これほど楽しいウィンドウショッピングはありません(変なものも当然沢山ありますが)。
その気にさせられた個体をダイジェストで何本か。

Ref.6263 YG circa 1970〜1980’s

6263の金無垢、シャンパンダイヤルですね。いつかは手巻きの金無垢デイトナを手に入れたいと夢見るコレクターは沢山いると思いますが、人気なのは圧倒的にブラックダイヤルでしょうか。順番としては6263ブラック→6265ブラック→6263シャンパン→6265シャンパン、ですよね? でも僕は黒よりも6263シャンパン派。勿論買えません、買えませんがご覧のように、とんでもないことになっていませんか。最も美しいヴィンテージクロノグラフの一つ。こんな時計が世の中にはあるのです。

Ref.6240 double stamped circa 1960’s

このリファレンスは以前は6263のプロトタイプと呼ばれたりもしていました。それが”TIFFANY & Co”のダブルスタンプで。針がどうとか細かい話は置いといて、ついでに66年あたりのティファニーの字体もこれで合ってるかどうかも置いといて、この決して美しいとは言えないレターのバランスが格好良く思えてしまうのです。強引な感じが。

Ref.1803 stella dial circa 1970’s

ステラダイヤルのdaydate、ダイヤインデックス。真贋が極めて難しいとされるこのシリーズですが、このあたりもいつかは、いつか本当に余裕が出来たら好きなカラーで一本買いたいとは思っていますがよく考えたら左のバーガンディを以前持ってました。金無垢に対してのファッション的な視点が当時はまだまだマイノリティだったこともあり、これを巻いた僕のあだ名は”地上げ屋”でした。

Ref.6542 tropical dial circa mid 1950’s

最後はこちら。これはちょっと一瞬本気でどう手に入れるか考えてしまった、完璧なトロピカルダイヤルの初代GMT。しかも付属品いっぱい。こんな個体、まだあるんですね。普通に売られていることがすごい。まだまだバブルバック時代の名残を感じさせるというか、垢抜けきらないこの時代のデザインが僕は大好きです。
以上。

帰りは時差ボケで眠たくて、でもどうしても行きたかった寿司屋があって、キャブに揺られて数十分。
このレストランは、オーストラリア人(たしか)の職人が銀座の有名店で5年、さらに富山で5年、修行した後ロンドンで”手巻き専門”の寿司屋をオープンさせたんですね。握りじゃなくて手巻きなんだっていうサプライズが面白いというか謙虚というか、興味があったので行ってきました。

そしたら髭、長髪、キャップのお兄さん達がシェフで、肝心のオーナーシェフはいませんでした。聞いたらほとんど立ってないとのこと。
10年かけて学んだのは、職人としての技術だけでなく、それ以上に経営を学んでしまったんでしょうね。

でもうまかったですよ。

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