時計探訪記 ~HongKong 編~
2024.12.03 Journal byこの時期はジュネーブから始まり、香港、ニューヨークへと続くオークションシーズンなわけですが、今年PHILLIPSは「刻(TOKI)」というタイトルで、主に日本のコレクターから出品された個体のみをリストしたオークションイベントをHongKong Watch Auction: XIXの前日にぶつけてきました。
オークション会場の2階フロア。ギャラリーのようなホワイトキューブの空間には、今回3日間に渡り出品される約300本もの時計が並び(Watch Auction: XIX含む)、実際に手に取ることも可能。そしてオークション終了と共にこれらは世界中の新なオーナーの元へ届けられます。
気になった個体をいくつか。
全体的に一見地味なラインナップに見えるのですが、流石は出どころが日本とだけあって、知らない人には何故これがここまで評価されるのかをいちいち説明しないと分からないくらい通好みな時計もけっこうあってマニアほど嬉しい内容に。分かりやすい例えですと、このホワイトダイヤルの時計は一見スタンダードに見えますが、通称”white commando”や”pre commando”と呼ばれる、一部のディープなコレクター間でしか知られていないモデルなのです。
こちらは1980-1990年代頃のBREGUET 3237(多分) 。この鮮やかなロイヤルブルーのマテリアルはたしかラピスラズリのはず。このダイヤルがセットされるスペシャルピースは、売り物としてどこかで登場した公な履歴が少ないので(一時期僕も欲しくて探してました)、今、実際にどれくらいの価格が基準なのかきっと誰も分かりません。この存在感、着けて似合うかは別として、大変美しいダイヤルでした。
そして今最も注目されていて、おそらく2025年から本格的に波が来るであろう日本のインディペンデントウォッチメイカーが手掛ける作品も。結果は会場がどよめくような想像を絶する落札額となったわけで、僕も販売用に準備している時計があるだけに、ちょっとどう値付けするべきか悩まないといけなくなりました。
TIFFANY & Coとダブルスタンプされる1016エクスプローラー1や、綺麗にトロピカルエイジングされた1960年代を代表するスポーツモデルが3本も。この辺りは本当に根強いですよね。どれだけトレンドが変化しても常に欲しい人、探している人がいるというか。
この日スタッフは全員がTOKIオークションのために製作された法被を着用。違和感がなんとも面白い。
1F会場の様子。実際の参加者はこの会場以外にも世界各国からオンラインで入札が可能。しかし欲しいターゲットが無いにしてもこういう場に居合わせるだけで、どういうメイカーに、どういう個体に、今コレクターの熱が注がれているのか、そういう真の気配が感じられることもまた僕にとっては醍醐味なわけです。
さらに会場ではTOKI終了後の翌日から開催されるオークションの個体も見ることができます。いくつか。
最初のREVERSOや、今後話題の中心になりつつ(戻りつつ?)あるBubbleback、さらには懐中時計など。この辺りの個体というよりこのようなテイストが今グッときます。先日発売しましたJules Jurgensenのクロノグラフも今から約100年前の時計にあたるわけで、簡単に言えばヴィンテージというよりアンティークのスタイルが今なんだか気になる、ということなのかもしれません。
今回は香港の前にシンガポールにもいて、そこでも数本だけ良い仕入れができました。また改めて。
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