時計探訪記 〜ラスベガス編〜

2026.06.27 Journal by Wolf and Wolff

先月ラスベガスで開催されたANTIQUE JEWELRY & WATCH SHOW 2026。

マイアミ程のスケールではありませんでしたが、それでも盛り上がりがすごかった。それにしても思ったのは、昔ながらの売り手と新たな買い手との間で妙なギャップがありますね。ひとつの大きな要因としては、時計のジュエリー化、もっと言うとファッション化したことでしょうか。もちろん昔ながらのストイックなコレクターは当然健在なのですが、そこにカウンターのようなかたちで華やかでコアなファッションピープルが大量に入ってきた。とにかくそのゾーンのボリュームと熱量はディーラーからすれば無視できません。ただその新たなニーズに100%応えられる売り手がいない、というのが現状であると思いました。

例えば1990sのべニュワールを試着していたこの若い女性。中年の店主は黙っているだけだったが、もしかしたら彼女にはさらに小さい径のべニュワールとタンクミニを重ねて着けましょうという提案もよかったかもしれない。というかそういうことが彼女が目指す”無敵”なんじゃないかと、ショーケースの上に雑に置かれたクロコダイルのTHE ROWを見てそう思った。
とにかく今女性の存在感が強い。というか早い。

ちなみに会場での収穫は残念ながら何もなかった。そのあとはニューヨークのディーラーから約束していたクロノグラフをピックアップして自室に戻り、僕のコレクションから数本出品していた香港のPHILLIPS AUCTIONのライブを見届けて、寝た。

ここからは最近仕入れた時計たちを。世界中から集めました。


From Australia


From Japan


From Switzerland


From New York

我ながらよくやったと思う。全て1920s-1930sのROLEX。この時代のROLEXは、というか腕時計は、どこか黎明期的な時代だけあって心から格好良いと思える個体は極めて少ない。逆に、すべての条件が揃った個体にはまるで白磁を思わせる美しさが宿っている。様々な偶然が交わってギリギリの上で成立している少々危なっかしいこの芸術を、僕は今真剣に追い求めているのです。
お陰様ですべて売約済みとなりました。ありがとうございました。

あと、一番最近仕入れたこのCape codはロサンゼルスの友人から買い取ったもの。彼女はこのPMサイズと、もうひとつ上のサイズとで2本持ちしている。2002年にビバリーヒルズのBARNEYS NEWYORKで買って、それから今日まで24年間着用し続けた、正真正銘のワンオーナー物である。ご察しの通りストラップは一度も変えられていない。

今はまだコレクターズウォッチと呼べる存在ではおそらくない。しかしこのレベルのエイジングのCCをコレクターのヒストリカルなウォッチコレクションに加えることは妙にクールなチョイス、というかアイデアだと思いませんか。
しかし先日IGに掲載して新たなオーナーの募集を開始したのだが、その晩彼女からすぐに連絡が来た。やや慌てた様子だった。どうやら手放したくなくなったらしい。こういうことはたまにあるし僕もたまにやる。
ということでお問い合わせいただいていたお客様方には申し訳ないですが、キャンセルとなりました。すいません、。

他人が着けていた形跡のあるストラップにちょっとだけ抵抗がある僕が、初めてこれならこのまま着けたいと思った大味でクールなアンティークレザー。ここまで変化させる何かコツとかあるの?と聞いたら「毎日の洗い物だよ」とのこと。

話をアメリカに戻します。ロサンゼルスではDogstarのツアーが丁度始まっていて、観に行ってきました。まだ俳優として売れる前のキアヌ・リーヴスが90年代に所属していた3ピースバンドで、数年前からまた再始動しているんです。3人の音以外に余計な音が入っていない、驚くほどシンプルで真っ直ぐ、そして何より”全然凄そうに見えない”ところがもはや一周して熱いんです今。ステージはたったの1時間弱。チケットはそこそこの席でも49ドル。物販コーナーの売る気はゼロ(実際売れていない)。なんでも表面的なゴージャスさばかりが求められるこの時代に、このアプローチには胸を撃たれた。

あとこれも時計に全然関係ありませんが、今回初めてJSXという最近話題の航空会社を使ってみました。わかりやすく言うとプライベートジェットと民間航空の中間のような存在で、JSX専用のターミナルが今アメリカの至るところに建設されているんです。

Uberでほぼ飛行機の横まで乗りつけて、外で待機し、簡単な手荷物検査をして搭乗するんですが、なんと出発20分前までに行けば良いという、とにかくスピーディで楽ちんでした。今までだったら飛行機に乗りたければ空港に行くしかありませんでしたが(それも時間に余裕を持たせて)、こういう根本から全く新しい発想のサービスはやはりアメリカは早いですよね。キャパは30人くらい。料金も通常の飛行機より少し高いくらい。もうこれから全部これでいい。

今回は残念ながら何も見つからなかったわけですが、それ以外での思わぬ発見や体験というものが、結果周り回って未来の仕入れに繋げてくれることもある。と思い込むしかないですね。

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